2014年5月22日木曜日

解釈改憲での集団的自衛権行使を容認に抗議し、閣議決定で解釈改憲を行わないことを求める要請書を提出しました!

解釈改憲で、憲法を骨抜きにする集団的自衛権行使容認?!

ふぇみんは下記の要請書を本日、安倍首相に提出しました。




内閣総理大臣 安倍晋三様
                                  
20145月22日                            
           ふぇみん婦人民主クラブ 共同代表 設楽ヨシ子 坪田康子

 
                      

解釈改憲で集団的自衛権行使を容認する安保法制懇の報告書に抗議し、
閣議決定で解釈改憲を行わないことを求める要請書

私たちふぇみん婦人民主クラブは1946年の創立以来、女性の人権や平和、環境問題などに取りくんできた全国組織のNGO女性団体です。

 515日安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に係る懇談会」は報告書を提出、これを受けて首相は記者会見で、集団的自衛権の限定的な行使容認を視野に与党協議を進めていくと述べた。

 私たちは、集団的自衛権の行使容認は、日本国憲法第9条のもと、「戦争をしない国」から「海外で戦争をする国」へと日本の国のかたちを根本から変えるものとして到底認めることはできないと考え、報告書の内容に抗議するとともに、閣議決定で集団的自衛権行使を容認する解釈改憲を行わないよう要請する。

理由を以下の通りとする。
    集団的自衛権行使容認は日本国憲法第9条違反である
これまで歴代の内閣は憲法9条下であっても専守防衛としての個別的自衛権を認め、必要最小限の実力行使は許されるが、集団的自衛権行使はこの必要最小限の限度を超えるとして否定してきた。しかし、報告書は必要最小限度の中に集団的自衛権の行使も含まれると解釈、行使を認めるよう求めた。
集団的自衛権の行使とは、自国が攻撃を受けていないにも拘わらず、攻撃を受けた他国のために海外で武力行使をすることである。戦力の保持を禁止し、交戦権を認めない9条をどう読めば出てくる解釈なのか。これは完全な日本国憲法第9条の破壊であり、憲法9条は無いに等しいものとなる。

    閣議決定による憲法解釈は立憲主義に反する
集団的自衛権行使容認は日本の安全保障を根本から変えるものであるにも拘わらず、国民の意思による憲法改定ではなく、閣議決定によって解釈による改憲を行おうとしている。
いうまでもなく、憲法はあらゆる法の頂点に位置して、政治権力の乱用を防止し、時には国民の暴走をも止めるものである。近代国家の基本原理である立憲主義は、政府の統治は憲法の制限を受けるというものである。その国家の縛りである憲法の解釈を、国民の意思を問わずに、時の一内閣が閣議決定によって変更できれば、内閣が変わるたびに解釈は変えられることにもなり、国民は極めて不安定な政治のリスクを負うことになる。 

    限定的容認論はまやかしである
安倍首相は会見で、「自衛隊が武力行使を目的として湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは、これからも決してありません」「我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるというとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許される」と述べ、安全保障政策の転換は限定的であるとしたが、限定の線引きは果たして明確にできることなのか疑問だ。「我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性」の判断基準は何なのか。極めて恣意的になる可能性がある。
武力行使に歯止めがかからないだろうことは、石破幹事長が5月初旬の訪米の際、「まずは限定した事例からスタートして、さらに広げることができる」、さらに517日のTV番組では、集団的自衛権の行使を容認する場合の対象国について、要件の一つとされる「密接な関係のある国への武力攻撃」を、米国に限定すべきではないとの考えを示す発言をしたことでも明らかである。
限定は無限定となり、必要最小限は必要最大限となり、海外への武力出動は規模、地域ともに際限なく広がる怖れはきわめて高い。

    「安全保障の法的基盤の再構築に係る懇談会」の不当性
安保法制懇は、首相の私的懇談会に過ぎず、委員14人のうち憲法学者は1人だけで、全員が集団的自衛権行使を容認する人たちで構成されている。結論先にありきの懇談会である。憲法の解釈をめぐる検討であるなら、憲法学者が多く入った賛成派・反対派の両者で構成されるべきであろう。集団的自衛権行使容認派の意見のみで作られる意見書を国の行政の長である首相が参考にすべきものと見做すわけにはいかない。

    集団的自衛権行使容認で国の安全は保障されない
 日本国憲法成立後70年近く日本は戦争をすることはなかった。この実績は海外で高く評価されている。紛争地域において武力攻撃されることなく活動できるのは、日本が戦争をしない国であるという評価によるものであり、「非武装日本」の評価は大きな外交資産であるとNGOの関係者は語っている。
 その日本の勝ち得た評価を投げ捨てて、戦争で人を殺し殺される国に変えることは、攻撃国及びその同盟国や関連する人々からの報復攻撃を受ける危険が高くなり、安全が脅かされることになる。こちらが武力攻撃すれば報復攻撃を受けることは必定の危険性を考えるべきである。
 さらに、報道によれば、安倍首相の集団的自衛権行使容認について、16日付の韓国各紙は、日本が「戦争できる国になる」と一斉に警戒感を報じている。首相の靖国神社参拝や歴史認識と相まって、安倍政権の軍事化方針が東アジアに緊張をもたらす要因となっている。

    日米安全保障条約は日本の集団的自衛権発動を認めていない
   日米安保第5条は「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃」があった場合に対処するように行動する……と規定している。日米安保条約における集団的自衛権行使は、日本国の施政にある地域のみに許されるのであり、日本の領域以外での集団的自衛権の発動は認められていない。

以上の理由により集団的自衛権行使容認は、平和主義破壊、立憲主義否定、法治主義違反、民主主義違反であり、日本の安全に寄与するものでもない。閣議決定によって集団的自衛権を合憲とする解釈改憲を行わないよう要請する。